相棒ふくろう🦉と歴史一周、地球一周

『ただ観光のように旅をするだけでは世界の本当の姿は見えてこない』をモットーにぽつり、ぽつりと。

御冷ミァハという生き方。自分らしく生きたいと切望する魂の言葉。

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こんばんは!

べいです*˙︶˙*)ノ"

 

今日は前回の続き

 

伊藤計劃が遺した

『ハーモニー』について

 

自分の溢れ出る感情と

整理されない脳みそを救済するため、

つらつらと書いていきます( ◜ᴗ◝ )

 

 

本日このブログを貫くテーマは

物語の重要なキーパーソンである

『御冷ミァハの思想と生き方』です。

 

 

私は伊藤計劃の描き出す

御冷ミァハの魅力に

取り憑かれた人間です。

 

彼女の深い教養から

溢れ出る言葉が好きすぎて…

 

孤独な時間や

本を好むことも、

 

物事の本質を見極めようと

様々な情報に触れるところや

 

理詰めで考えて、

悩み苦しむその姿も

 

自分ととても重なる部分があって

どうにも他人事には思えず…

 

 

映画でミァハ演じる声優さんも

それはそれは最高でした。

 

 

彼女のことをもっと理解したい。

 

そう思って

文庫本にも手を出しました。

 

 

私が苦しみがらも書く理由は、

彼女の思想を理解して

〈何がしかの結末を得ること〉。

 

 

ああ…早くスッキリしたい…

 

 

さあ、今日も

はじめたいと思います(*`・ω・´)

 

※※ネタバレを存分に含みますので

ご承知ください。

 

 

.•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪.•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♪

 

 

まずはハーモニーの世界観、

人々にまとわりつく

『空気』について。

 

 

世界規模の核戦争が起きた後、人間は

この愚かさが繰り返されないよう

平和で健康な福祉医療社会確立しました。

 

 

私たちが想像しえないほど、

非常に医療が発展していて

 

老けることも、

病気で死ぬこともありません。

(寿命では死にます。

ただし100歳超えは当たり前)

 

 

このハーモニーの世界では、

街の何もかもが

優しい淡いパステルカラーで

覆われています。

 

 

それは人々の心を刺激しないため、

傷つけないためです。

 

 

暴力的なシーンが入った

映画や書籍などのメディア類は

資格を持つ者以外は

閲覧もできません。

(ミァハはシステムの裏をついて

読んでいました)

 

 

基本的に

罪を犯すことは誰もしないし、

子ども同士のいじめなども、

もはや遠い過去の出来事

となっています。

 

 

なので

常識に染まりきった大人たちには

一部の子どもたちが、

 

WatchMeというシステムによって

強制支配される将来を悲観し

自死を選ぶ…

という感情は理解できません。

 

 

なぜ子供たちが悲観するかというと、

身体総てを生府に管理されるという

『束縛感』

 

 

国民がお互いにお互いを監視しあう

『社会の空気』

 

 

そして義務的に

善意を振りまかないとならないという

さらなる『束縛感』に

耐えきれないから。

 

 

生府に『身体の健康』という

生きていく上での核となるものを

人質に取られ、

 

 

世界中の人々に自分の身体データや

社会的評価を晒し続けて

生きていかなければならない。

 

 

お互いがお互いを監視しあって、

優しさを、健康を、

病的なまでに

維持し続けようとする社会。

 

 

御冷ミァハもそんな束縛感を

心から忌み嫌いました。

 

 

大人・子どもを含み、

ほとんどの人間は

『悪いことをしてはいけない』

という常識に対して

 

 

〈ほんとに

「そんなことしちゃいけないのか」、

   どうしてそんなこと

 しちゃいけないのか、

 

   それを突き詰めて考えたことがない〉。

 

 

平和で健全な社会を崩さんとする、

 不都合となる総てのことが

目隠しされています。

 

 

一見、とても理想的な世界。

 

 

ミァハは

常識に疑問を持たない

同級生の群れから距離を起き、

 

デッドメディア

(映画や絵画や本)を好み、

孤独な状態をあえて作り出します。

 

 

彼女はもともと峻厳な山岳に住む

『意識を持たない、

 自明で生きる遺伝子』を持った

少数民族のひとりでした。

 

幼い頃にロシア兵に誘拐され

悲惨な想いをたくさんした結果、

『意識』が芽生えました。

 

 

ミァハは日本に来る前に

『暴力による支配』と

『人間がどれほどまでに

野蛮になれるのか』を経験し、

 

 

救い出されて、日本に来てからも

『じわじわと精神的に殺される世界』

を知ったわけです。

 

 

その世界を変えようと、

その常識は間違っているんだと

人々に気づかせるために

 

 

デッドメディアとなった本から

歴史や様々な思想を学び、

 

 

彼女は自分を社会的凶器として

研ぎ澄ましていきました。

 

 

オトナたちは、

それまで人間が分かちがたい

自然の産物と思ってきた多くのものを、

いまや外注に出して制御してる。

 

 

病気になることも、生きることも、

もしかしたら考えることも。

 

 

むかしは自分自身のものだった。

自分自身のものでしか有り得なかった

多くのものが、

 

 

経済の流れのなかで

外にお任せになっている。

   

なら、わたしはオトナになりたくない。

このカラダはわたしのもの。

 

わたしは

わたし自身の人生を生きたいの。

 

互いに思いやり慈しむ空気に

絞め殺されるのを

待つんじゃなくってね。

 

私はね

永遠と人々が思っているものに、

不意打ちを与えたい。

 

 

止まってしまった時間に、

一撃を喰らわせたい。

 

 

本来、病気や老いは自然的なもの。

 

 

けれど人間は、

高度医療によってそれらを駆逐し

 

「生命主義」のもと

人々の生活をコントロールしはじめました。

 

 

健康でいられるなら、

それは良いこととして…

 

 

自然を支配し、

あわよくばその支配をしている現状を

「善」として人々に押し付けた。

 

 

『命や自然には本来、

 善も悪もないんだ。』

 

 

そして彼女は、

同志であるトァンとキァンと共に

 

 

自らシステムの抜け穴を利用して作った

薬を飲み、

(食べながらに栄養失調に陥っていく薬)

自らの命を投げ打つことを選択しました。

 

 

わたしたちが奴らにとって大事だから、

わたしたちの将来の可能性が

奴らにとって貴重だから。

 

 

わたしたち自身が

奴らのインフラだから。

 

 

だから、奴らの財産となってしまった

この身体を奪い去ってやるの。  

 

 

この身体は

わたし自身のものなんだって、

セカイに宣言するために。

 

 

奴らのインフラを傷つけようとしたら、

それがたまたまこのカラダだった。

 

 

ただ、それだけよ。

 

 

どんなに健康で

食べ物にも困らず、

総てに何の不自由もしない世界であっても

 

 

人間には『自分が自分でありたい』

という強い想いがあるから、

それが苦しみを生む。

 

 

『感情』があるからこそ、

世界の『常識』に馴染むことができない。

 

 

トァンとキァンを残して

ミァハは死にました。

 

 

けれど、ミァハは

社会の常識に染まることのできない

子供たちの脳をいじり、

 

強制的に『社会的な人間』へ

変えようとする研究機関へと

引き取られ、息を吹き返します。

 

(ミァハは献体として

引き取られることを望んでいました)

 

 

そこで体験した経験が

ミァハの思想を変えました。

 

 

死ぬ以外の方法で

"この生命主義の世界に馴染めない苦しみを

   どうしたら無くせる"のか。

 

 

最終的にミァハが出した結論は

『総ての人間を

《ハーモニー》の世界連れていくこと』

でした。

 

 

その『ハーモニープログラム』とは…

WatchMeを利用して

脳の意思決定を司る器官をいじることで

意識を消滅させ、

 

 

『感情』を消し去ることによって

人々を苦しみから

解放するということ…

 

 

人の倫理に迫る方法です。

 

 

あんなに

『個』の大切さを説いていたミァハが、

なぜ。

 

 

次回はミァハが

どうしてそのような結論に至ったのか、

そのテーマに取り掛かろうと思います。

 

 

 

 

おわりに。

 

様々な文学作品や

哲学者の思想を混じえながら、

 

魅力的なキャラクターである

御冷ミァハや霧慧トァンに

代弁させることによって

 

 

知識欲旺盛な人間を

ことごとく刺激して、

さらなる好奇心に駆り立てる

著者『伊藤計劃』。

 

 

彼が書き残した、

その結論に至るまでの『根拠』は

とても科学的・哲学的で、

 

『生きること』

『魂』に関する著書で

こんなに刺激的で面白い本には

今まで出逢ったことがありませんでした。

 

 

彼は病院という医療施設の中で

この作品を執筆していたといいます。

 

 

そんな命や死と

常に近いところにいた彼だからこそ、

創造することができた物語。

 

 

32歳という若さで逝ってしまった、

彼の作品はもう読めない。

 

 

そう思うととても悲しいです。

 

 

だからこそ、

熟読して私の血肉にしたい。

 

 

私の中のハーモニープロジェクトは

まだ止まりません。

 

 

語りたいことが多すぎて、

これ以上長くなってもいけない…。

 

 

今日はこの辺りでメドをつけて

締めることにいたします。

 

 

では、また次回!*˙︶˙*)ノ"

 

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