相棒ふくろう🦉と歴史一周、地球一周

『ただ観光のように旅をするだけでは世界の本当の姿は見えてこない』をモットーにぽつり、ぽつりと。

『人間とは何か』というおはなしのはじまり。

こんにちは!

べいです*˙︶˙*)ノ"

 

今日のテーマは

 

34歳でこの世を去った夭折の作家、

伊藤計劃が最期に遺した作品

『ハーモニー』。

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この作品が描き出すのは

『魂の物語』です。

 

 

魅力的すぎる『イデオローグ』である

御冷ミァハと、

 

 

その魅力に取り憑かれたまま生きる、

霧慧トァン。

 

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《 画像は映画DVDパッケージより》

 

 

映画は何度も見ていたのですが、

自分の中で答えの出ない迷路に

迷い込んだまま抜けられず

 

 

もっとこの感情を深堀りしたいと思い、

とうとう文庫本に手を出しました!

 

 

 

そして、読み切ったはいいのですが

さらなる衝撃波に幾度も襲われ、

 

このなんとも言えない感情を

文字にすれば

整理できるのではないかと思い、

ここに書こうと思った次第です

(´・∀・`)あー…自分を助けたい

 

 

 

あと前回紹介した

『137億年の物語~

宇宙が始まってから今日までの全歴史』

という本を紐解いていく中で

 

とうとう人類史に入り、

 

『人間とはなんぞや?』

 

という根源的な疑問が

ほっとくことができない程

脳みそにこびりついてしまいました。

 

 

 

この疑問は

表面的な歴史上の史実を追うだけでは

ぜったい解決しないので、

 

一度読むのをストップして

この疑問に何らかの持論持ちたい

と思いました。

 

 

だって、宇宙誕生から始まり

生命が産声を上げて

人類が最初の文明を築き上げたまでは

いいけれど、

 

 

領土争い、宗教戦争

虚栄心や金銭を得るための略奪や戦争が

古代文明の頃から現代まで

飽きもせず繰り返されるわけです。

 

 

もうね、嫌になるほど人類の歴史は

どーしょーもなく

『愚かな争闘の羅列』です。

 

 

物理的なものだけじゃなく、

この資本主義も含めて

実に残酷、目に余りまくります。

 

 

人類の歴史は、

宇宙誕生からの流れで学び進め、

俯瞰的に見ていくと、個人的に思うに

実に醜く、つまらないものです。

 

 

『勝利した者』が

どんな歴史を築こうが

知ったこっちゃないんですが、

 

(歴史に学べとは言うけれど、

どれだけ知識として知っていようが

 

コントロール不能な支配者や

闇の権力者による

不可抗力には抗えないし、

命を落とす時は落とすので…)

 

 

こう、

人間がなぜこんなにも愚かなのか!?

ということを

 

『意識レベル』で知りたくなった

のは自然の流れでした。

 

 

そして

理想的な人間の生き方

(絶対的な幸福な状態)って

 

行き着くところまで突き詰めると

一体どんなものなんだろう?

と追求したくなりました。

 

 

そして、

その思索にうってつけなのが

伊藤計劃の『ハーモニー』でした。

 

 

 

伊藤計劃は私たちの

『魂の存在』や

『人間であるとは何か』という問題を、

 

 

読んだ人が

心臓を銃で撃ち抜かれんばかりの

衝撃的な内容で抉り込み、

問いかけてきます。

 

 

『ハーモニー』の世界は

〈大災禍〉と呼ばれる核兵器

何度も地球上で使われた

世界的な大混乱の後、

 

 

ほとんどの国で築き上げられた

大規模な福祉厚生社会が舞台です。

 

 

 

WatchMeという

身体に埋め込まれた器具によって

人間は数値に置き換えられる代わりに、

 

死ぬ以外の、

総ての病気が駆逐された社会。

 

 

食べる物も、その入手さえも

総てシステムという外注に頼り、

 

 

『健康でなくてはならない』

『健康でない人は、常識外れな人間』

という空気が見えない鎖となり、

人々を縛り付ける社会。

 

 

でも、そんな仕組みや

社会の風潮に疑問を持つ人間は

ほとんどいない世界。

 

 

 

この空気に違和感を感じ、

抗い続けながら生きる

3人の少女がいました。

 

 

この少女たちが

物語を動かしていきます。

 

 

 

『自分であるとは何か?』

『自分らしく生きるために、

 どう抗うのか』

 

これが作品を最後まで貫くテーマです。

 

 

『ハーモニー』を読み込んで

自分なりの持論を一度確立して、

 

 

これからまだまだページが残されている

『137億年の全歴史』の人類史へと

備えようと思います。

 

 

前置きが長くなりましたが、

何回かに分けて整理して、

 

印象強い部分、

独断と偏見も含む考察、

私の正直な感想を

つらつらと書いていきますので

 

 

まあ…興味のある人は

読んでみてくだされ( ´ ∀ ` )

 

※※ネタバレを存分に含みますので、

ご承知ください。

 

 

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【冒頭】

 

〈こどもがおとなになると、

 言葉になる〉

 

子どもというのはまだ、心も身体も不安定で

色々な部分が定まっていない状態。

 

『言葉になる』というのはイコール

この世界でいうWatchMeによる

身体の数値化。

 

(WatchMeは大人になったら起動する)

 

 

そして私が思うに

『与えられた社会の空気に染まって、

 型にはまる』

というような意味合いを

含んでいるような気がします。

 

 

〈こどものからだは、

   おとなになるまで

 言葉にしてはならない〉

 

という禁止で語られるべき。

 

この世界には、

『この世界に居場所がない』と言って

自死を選ぶ子どもたちが

たくさんいます。

 

そして、年々増え続けている。

 

 

これは、

数値化されることへの抵抗。

 

 

『自分が

 自分だけのものであっていいはすだ。

   というより、

 それが当然の権利のはず』という

大人たちへ向けたメッセージ。

 

 

大人たちは何の疑問も持たず、

自分が数値化されることを

受け入れ続けます。

(もちろん抵抗する人もたくさんいる)

 

 

でも、子どもはちゃんと解っている。

それが『異常』だということを。

 

 

そして、とても賢くて

問題児でもある御冷ミァハは、

霧慧トァンにこう伝えます。

 

 

『一緒に示そうよ』

『わたしたちはおとなにならないって、

   一緒に宣言するの。』

 

『ぜんぶわたし自身のものなんだって、

   世界に向けて

 静かにどなりつけてやるのよ。』

 

 

思いやりと

共同体意識にあふれた世界にあって、

〈この人たちの一員になるのはまっぴら〉

だと。

 

 

どこまでも親切で、

どこまでも他者を思いやって、

 

挙句の果てに

この私にすら思いやりを持て、

親切であれと急き立てるこのセカイ。

 

 

そんな時代と空間に

参加させられるのはまっぴらだった〉

 

環境は違えど、なんだか

今の労働問題や

 

『世間のイメージを壊した者には

 制裁を下してもいい』

という空気感が蔓延した日本社会に

 

鋭いナイフを

切り込んでいる気もします。

(マスコミによるものが大きいよね)

 

 

こういうのって間違っているよね、と

怒りを感じながら

日々を生きている人は多いと思います。

 

 

私ももちろん、

そのひとりですが。

 

 

この物語の日本では、

倫理的に堕落した大人は

一人もいません。

 

 

その一方で

思う存分堕落することができ、

人生をまるごと捨てることができる

 

大災禍の前には

そんな世界があったということを

御冷ミァハはトァンに教えます。

 

いまでもそんな大人がいるんなら、

わたしたちにだって希望が残されているはず。

 

大人になってもいい、って思えるはず。

 

違う…?」

 

と。

 

 

柔軟な考えが許される世界。

 

死ぬ自由も、

病気になる自由もちゃんとある世界。

 

 

そんな世界を健気に望む彼女たち。

 

 

そして彼女たちが下す決断は

突き詰めていけば、

「間違っているよね」とは

言い難いもので…

 

 

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今日のまとめはここまで( ´▽`)ノ

 

 

ちなみにアニメ映画と原作は

ラストシーンの解釈が全く違っているので、

そこを比べてみるのも面白いです。

(ファンからは賛否両論あるけども)

 

 

それではまた*˙︶˙*)ノ"

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